Sunday 9 October 2011

ルパン vs ホームズ


 ところで、パイロット版と放送分を何度か見比べ思うんだけど、パイロットより放送分のシャーロックのほうが、確実に日本ではウケるだろうということ。
まぁ、本国でもそうなのかも知れないけど、日本ならもっと、かも知れない。
シャーロックの性格が、より細かく描き込まれているから。
そして私たち日本人は、ああいう癖のあるキャラクターが好きだ。

私が子供の頃、小学生が争って図書館から借りた本に、ルパンとホームズがあった。金田一シリーズもあったんだけど、なんといっても二大潮流はルパンとホームズ。
ルパン派とホームズ派は、面白いほどハッキリ分かれた。
ルパンもホームズも借りる、という子供は、あまりいなかったと思う。
必ず、どっちかに偏った。

私はルパンの方が好きだった。
大好きだったと言っていい。
ルパン全集を出していたポプラ社のシリーズは何度も読破し、当時ルパンの翻訳を扱っていた新潮文庫と創元推理文庫のシリーズも片っ端から買った。
創元推理文庫はその名の通り、推理小説を専門に扱う出版社で、当然ホームズのシリーズも出していた。どの本にも巻末に出版中の本の紹介がされていたのだが、私はその中でルパンが
「ミステリ・サスペンス」
というジャンルに分けられているのに対し、ホームズが
「本格推理」
のジャンルに入っているのがいつも不満だった。笑
なんか本格推理って、カッコいいじゃん。
ミステリって、ようは「本格推理未満」の別名?という感じがしたのだ。

そしてそれはあながち間違いでもなくて、ルパンのトリックというのは、確かにホームズほど精巧ではなかった。子供心にも、ご都合主義と感じる部分はあった。
実際、ルパンとホームズが双璧をなしている国は日本(とフランス)だけで、世界規模で見た場合、ルパンはホームズよりはるかに知名度は低かった。
ルパン作品のトリックの弱さに、大きな理由があったと思う。

それでも私はこよなくルパンを愛したし、私の世代の子供の半分がルパン派だったことは間違いない。
日本人はルパンのキャラクターを愛したんだと思うのだ。
女性には優しく、ハンサムでお洒落、人は絶対殺さないアンチヒーロー。
でも時々自分を過信して敵の罠にかかったり、愛する女性を殺されて茫然自失してしまうような、人間臭い部分も持っている。
それがたぶん、日本人の情緒性に触れるのだ。
ホームズの人間性も描写されてはいるが、話の焦点はそこではない。本格推理たるホームズ作品の要は何と言っても謎解きだ。

謎解きの緻密さと、謎はさておいても魅力的なキャラクター。
この二つが同じだけ人気を得ることのできる国が日本なんじゃないだろうか。

「シャーロック」が地上波放映されたらどうなるか見てみたいなぁ。笑

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